電子車検証のメリット・デメリット|「意味ない」「不便」と言われる理由を整理
電子車検証について調べると「便利になった」という説明と、「意味ない」「不便になっただけ」という声の両方が出てきます。どちらも一面では正しく、立場によってメリットとデメリットの見え方が違うのが実情です。
この記事では、電子車検証のメリットとデメリットを事実ベースで整理し、「不便」と感じる原因がどこにあるのかを明らかにします。
電子車検証のメリット
①運輸支局等へ出頭しなくてよくなった
最大のメリットです。従来はOSS(ワンストップサービス)申請を行っても、新しい車検証を受け取るために運輸支局や軽自動車検査協会へ出向く必要がありました。ICタグに情報を記録する方式にしたことで、記録等事務代行者の事業所でICタグの記録更新ができるようになり、継続検査での出頭が不要になりました。
②サイズが小さく携帯しやすい
A4サイズからA6サイズ相当(横177.8mm×縦105mm)になり、車検証入れに収まりやすくなりました。
③車検の有効期間を通知で知らせてくれる
車検証閲覧アプリの有効期間お知らせサービスにより、満了の60日前・30日前・満了の1日後の計3回、プッシュ通知が届きます。メール登録による併行通知も可能です。券面を見て満了日を思い出す必要がなくなりました。
④リコール情報を確認できる
閲覧アプリでは、自動車製造メーカー等から申告されたリコール情報を確認できます。自分の車が対象になっていないかを能動的に調べられます。
⑤電子署名付きPDFで内容を証明できる
アプリから出力できるPDFには電子署名が付いており、改ざん検証に対応しています。手書きやコピーより信頼性の高い形で内容を示せます。
⑥データとして扱えるようになった
車検証情報をファイルとして出力できるため、整備システムなど他のソフトへ取り込めます。事業者にとっては入力工数の削減に直結します。また、ICタグには民間事業者等が利用できる空き領域が用意されており、その利活用は令和7年(2025年)4月に開始されました。
電子車検証のデメリット・注意点
①券面を見ても車検満了日が分からない
「不便になった」と言われる最大の理由がこれです。有効期間の満了する日、所有者の氏名・住所、使用者の住所は券面に印刷されず、ICタグに記録されています。確認するには閲覧アプリか自動車検査証記録事項が必要です。
②閲覧環境を用意しないと中身が読めない
アプリを使うにはNFC対応のスマートフォン、またはWindows 11とICカードリーダが必要です。iPadはNFC非搭載のため対象外で、対応していない端末しか持っていない人は自力で内容を確認できません。
③ICタグの破損リスクがある
折り曲げ・水濡れ・強い圧力でICタグが破損すると読み取れなくなります。台紙とICタグを合わせたものが電子車検証であり、ICタグを切り取ると無効な車検証になります。破損したら運輸支局等で再交付が必要です。コピー機のフィーダー(自動原稿送り)機能を使うと破損するおそれがある点も要注意です。
④「車検証が届かない」という誤解が生じやすい
継続検査で券面の情報が変わらない場合、電子車検証は新しく交付されません。これを「手続きが済んでいない」と誤解するケースが非常に多く、事業者側の問い合わせ対応の負担になっています。
⑤紙の車検証には戻せない
電子車検証の交付対象となる手続きを行った場合、紙の車検証に戻すことはできません。
「意味ない」と言われる理由を分解する
| 不満の声 | 実際のところ |
|---|---|
| 「結局アプリを入れないと読めない、面倒」 | 事実です。ただし出頭が不要になった分の時間削減と比べれば、多くの人にとっては差し引きプラスです |
| 「満了日が見えないのは改悪」 | 券面からは消えましたが、通知サービス・記録事項・検査標章という代替手段が用意されています |
| 「一般ユーザーにメリットがない」 | 年に一度あるかどうかの手続きが対象なので、実感しにくいのは事実です。恩恵が大きいのは頻繁に手続きする事業者側です |
| 「壊れやすくなった」 | 取り扱いの注意は確実に増えました。ケースでの保管が実質的に必須です |
整理すると、一般ユーザーの日常の実感としてはデメリットが目立ち、手続きの総量が多い事業者ほどメリットが大きい制度と言えます。
デメリットを小さくする使い方
- 閲覧アプリを入れ、有効期間お知らせサービスの通知を設定しておく
- 交付時に渡される自動車検査証記録事項を捨てずに保管する
- 電子車検証ケースに入れ、グローブボックスで保管する(折り曲げ・水濡れ防止)
- コピーが必要なときは原稿台で。フィーダーは使わない
- PDFをあらかじめダウンロードしておくと、紛失時の手続きがスムーズです
事業者から見たメリット・デメリット
整備工場・販売店にとっては、対応の仕方次第でメリットにもデメリットにもなるのが電子車検証です。
| 対応した場合 | 対応しなかった場合 |
|---|---|
| 読み取ったデータを取り込み、車両台帳の入力がほぼ自動化される | 券面から満了日が読めず、台帳への転記ができない |
| 満了日をシステムで管理し、車検案内DMを精度よく出せる | 案内漏れが発生し、そのまま入庫台数が落ちる |
| 記録等事務代行で手続きを自社完結でき、引き渡しが早い | 運輸支局等への出頭が残り、リードタイムが長い |
| コピーを取らない運用に変え、ICタグ破損リスクを下げられる | コピー機会が多く、破損トラブルの責任問題を抱える |
電子車検証は券面を見ても車検満了日も所有者情報も分かりません。預かった車検証を目視して台帳に書き写す運用は成り立たなくなり、車検案内の精度がそのまま入庫台数に響きます。閲覧アプリが出力したデータを取り込める自動車整備システム(自動車整備ソフト)や車両販売システム(車販ソフト)に切り替えれば、車両台帳への手入力をほぼなくせます。 整備システム 比較や整備ソフト おすすめの条件を知りたい方、整備ソフト 安い製品や長期契約に縛られない整備システム リースなしの導入形態を探している方は、 整備システム比較.comで主要製品の機能・価格を比較できます。整備・車販・鈑金を一体で扱う DREAM POWER(新車の仕入れルート確保)(日本カーネット)の総合案内もあわせてご覧ください。
