電子車検証のICタグの仕組み|記録内容・読み取り方法と空き領域の利活用

電子車検証の右端に貼られているICタグ。ここに何が入っていて、どういう仕組みで読み取られ、これからどう使われていくのか——制度の中核でありながら、あまり整理されていない部分です。

この記事では、ICタグ(ICチップ)の役割、記録されている情報、そして令和7年4月に始まった空き領域の利活用について解説します。

ICタグとは|台紙と一体で1つの車検証

電子車検証は、A6サイズ相当(横177.8mm×縦105mm)の厚紙にICタグを貼り付けたものです。重要なのは、台紙とICタグを合わせたものが自動車検査証だという点です。

ICタグを切り取ってはいけない

国土交通省は「ICタグを切り取ると無効な車検証になる」と明記しています。折り曲げ・水濡れ・強い圧力による破損も同様で、読み取れなくなった場合は管轄の運輸支局等で再交付が必要です。

ICタグに記録されている情報

券面に印刷されず、ICタグの中に電子的に記録されているのは次の項目です。

  • 自動車検査証の有効期間の満了する日
  • 所有者の氏名・住所
  • 使用者の住所
  • 使用の本拠の位置
  • 備考欄の一部(牽引車情報等)

これらは車検のたび・手続きのたびに変わりうる情報です。券面に印刷せずICタグに入れることで、券面を再発行せずに内容だけを書き換えられるようにしています。継続検査で新しい車検証が交付されないのは、この設計によるものです。

読み取りの仕組み

ICタグは非接触(かざすタイプ)です。読み取りには次のいずれかが必要です。

  • NFC対応のスマートフォン(iOS 18・26/Android 13〜16。iPadはNFC非搭載のため対象外
  • Windows 11(バージョン24H2)+ ICカードリーダ

読み取りの際は、券面に記載されたセキュリティコードの入力が必要です。ICタグには個人情報が入っているため、券面を手元に持っている人だけが中身を見られる仕組みになっています。

二次元コード(QRコード)との違い

ICタグ二次元コード
位置券面右端券面下部
読み取り方法NFC端末・ICカードリーダカメラでの読み取り
セキュリティコード必要不要
主な内容有効期間・所有者・使用者住所など登録番号・車台番号・型式指定番号・類別区分番号・初度登録年月・型式・有効期間満了日
書き換え可能(記録等事務代行者等)不可(印刷)

二次元コードは従来の車検証から引き続き印刷されており、カメラで手軽に車両情報を取得できます。業務で車両を素早く特定したい場面では、こちらのほうが実用的なこともあります。

ICタグの書き換え|記録等事務代行制度

ICタグの記録更新は誰でもできるわけではありません。国土交通大臣から委託を受けた記録等事務代行者が、継続検査に係る記録等の事務(有効期間の更新・検査標章の交付事務)を行えます。変更登録・移転登録に伴う変更記録は変更記録事務代行者の担当です。

この仕組みにより、国の審査を経た車検証だけが書き換えられることになり、車検証の不正な書換えや検査標章の不正印刷を防ぐ効果も期待されています。

空き領域の利活用(令和7年4月開始)

ICタグには、行政が使用する領域とは別に、民間事業者等が利用できる空き領域が用意されています。この空き領域の利活用は令和7年(2025年)4月に開始されました。

車両1台ごとのICタグに事業者側の情報を記録できるようになるため、整備・点検・流通の現場での新しい使い方が広がっていくと見込まれています。利用の詳細や申請方法は、国土交通省の電子車検証特設サイトおよび専用ポータルで公開されています。

※空き領域の利用条件は制度として整備が進んでいる段階です。導入を検討する際は必ず最新の公式情報をご確認ください。

なぜICタグ方式にしたのか

紙に印刷する方式では、内容が1文字でも変われば新しい券面を発行し、それを窓口で受け取る必要がありました。OSS(ワンストップサービス)申請をオンラインで完結させても、車検証を取りに行く工程だけが残ってしまう——この最後のボトルネックを解消するために選ばれたのがICタグです。

加えて、車検証情報がデジタルデータとして扱えるようになったことで、整備記録や所有履歴といった情報の利活用が進めやすくなります。国の検討会が示した「自動車の履歴情報を収集・活用したトレーサビリティー・サービス」の基盤にもなります。

事業者の方へ|ICタグは「読む」だけでは価値が出ない

ICタグを読み取れる環境を整えても、画面を見て台帳に手入力しているなら、電子化の効果はほとんどありません。

  • 閲覧アプリのデータ出力を自動車整備システム車両販売システムに取り込む
  • 満了日・所有者情報をデータで保持し、車検案内の抽出に使う
  • 記録等事務代行を行うなら、代行業務と入庫管理を分断しない

ICタグは、車両情報をデータとして流通させるための入口です。受け止める側の仕組みがあって初めて意味を持ちます。

整備工場・車両販売店の方へ|電子車検証は「読み取れる体制」が前提になります
電子車検証は券面を見ても車検満了日も所有者情報も分かりません。預かった車検証を目視して台帳に書き写す運用は成り立たなくなり、車検案内の精度がそのまま入庫台数に響きます。閲覧アプリが出力したデータを取り込める自動車整備システム自動車整備ソフト)や車両販売システム車販ソフト)に切り替えれば、車両台帳への手入力をほぼなくせます。 整備システム 比較整備ソフト おすすめの条件を知りたい方、整備ソフト 安い製品や長期契約に縛られない整備システム リースなしの導入形態を探している方は、 整備システム比較.comで主要製品の機能・価格を比較できます。整備・車販・鈑金を一体で扱う DREAM POWER(新車の仕入れルート確保)(日本カーネット)の総合案内もあわせてご覧ください。

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