電子車検証(自動車検査証の電子化)とは

電子車検証とは|自動車検査証が電子化(ICカード化)されA6サイズのICタグ付き車検証に

電子車検証とは、A6サイズ相当の厚紙にICタグを貼り付けた新しい自動車検査証のことです。従来のA4サイズの紙の車検証に代わるもので、有効期間の満了する日や所有者の氏名・住所といった情報は券面に印刷されず、ICタグの中に電子的に記録されます。車検証の電子化(ICカード化)と呼ばれているのがこの仕組みです。

交付が始まったのは、登録車(普通自動車)と小型二輪自動車が2023年(令和5年)1月4日軽自動車が2024年(令和6年)1月4日からです。2026年現在、新規登録・継続検査(車検)・変更登録などで自動車検査証が新たに交付される場面では、原則としてこの電子車検証が発行されています。制度開始からすでに3年以上が経過し、その間に車検を受けた車両の多くが紙の車検証から電子車検証へ切り替わりました。

当サイトは2022年の開設時、「これから電子化される予定の制度」として解説を掲載していました。本ページは2026年8月時点の最新の内容へ全面的に更新し、電子車検証の仕様と見方、車検証閲覧アプリの使い方、記録等事務代行制度、そして自動車整備工場・車両販売店が対応すべき自動車整備システム/車両販売システム側の準備までをまとめて解説します。

対象車種電子車検証の交付開始日
登録車(普通自動車)・小型二輪自動車2023年(令和5年)1月4日
軽自動車2024年(令和6年)1月4日

※すでに交付を受けている紙の車検証が、電子車検証へ自動的に切り替わるわけではありません。次回の車検(継続検査)などで新たに交付を受けるタイミングで電子車検証になります。

なぜ自動車検査証を電子化したのか

車検証電子化の目的は自動車検査証の受け取りのための運輸支局への来訪を不要にすること

最大の目的は、OSS(ワンストップサービス)申請を行ってもなお残っていた「自動車検査証を受け取るためだけに運輸支局等へ出向く」手間をなくすことです。

従来は、インターネットで申請手続きを完結させても、新しい紙の車検証は運輸支局や軽自動車検査協会の窓口で受け取る必要がありました。車検証の情報をICタグに記録する方式にしたことで、記録等事務代行者の資格を持つ整備事業者等の窓口でICタグの記録更新(有効期間の書き換え)ができるようになり、継続検査の際に運輸支局等へ出頭する必要がなくなりました。券面に印刷された情報が変わらない限り、新しい車検証を受け取りに行かなくてよい、という設計です。

あわせて、車検証情報がデジタルデータとして扱えるようになったことで、自動車の整備記録・所有履歴といった情報の利活用が進めやすくなる点も、電子化の狙いとされています。

OSS(ワンストップサービス)の詳細はこちら

電子車検証の仕様|サイズ・券面記載事項・ICタグ格納情報

電子車検証の変更点|A6サイズ・ICタグ貼付・券面に有効期間や所有者情報は記載されない

サイズと形状|A6サイズの厚紙にICタグを貼付

  • A6サイズ相当の厚紙にICタグを貼り付けたもの(横177.8mm × 縦105mm
  • 従来のA4サイズの紙の車検証よりかなり小さく、車検証入れ・電子車検証ケースに収まるサイズ
  • ICタグ部分は破損すると読み取れなくなるため、折り曲げ厳禁。水濡れにも注意が必要

券面(表面)に記載される情報

継続検査や変更検査で内容が変わらない「基礎的情報」が印刷されています。自動車登録番号または車両番号、車台番号、交付年月日、使用者の氏名または名称、車名・型式、初度登録年月などです。券面に印刷された情報に変更が生じる手続きを行う場合は、運輸支局等で電子車検証の交付を受けることになります。

券面に記載されず、ICタグに記録される情報

次の情報は券面に印刷されず、ICタグの中に記録されています。確認するには車検証閲覧アプリで読み取るか、自動車検査証記録事項(後述)を見る必要があります。

  • 自動車検査証の有効期間の満了する日(車検満了日)
  • 所有者の氏名・住所
  • 使用者の住所
  • 使用の本拠の位置
  • 備考欄の一部(牽引車情報等)
項目従来の紙の車検証電子車検証
サイズA4サイズA6サイズ相当(横177.8mm×縦105mm)
有効期間の満了する日券面に印刷ICタグに記録(券面には印刷されない)
所有者の氏名・住所券面に印刷ICタグに記録
使用者の住所・使用の本拠の位置券面に印刷ICタグに記録
情報の確認方法券面を見る車検証閲覧アプリ/自動車検査証記録事項
継続検査時の更新運輸支局等で新しい車検証を受け取る記録等事務代行者の窓口でICタグを記録更新(出頭不要)

二次元コード(QRコード)は引き続き利用できる

券面下部の二次元コードは電子車検証でも印刷されており、読み取ることで次の情報を取得できます。

  • 自動車登録番号または車両番号
  • 車台番号
  • 型式指定番号/類別区分番号
  • 初度登録年月/型式
  • 有効期間の満了する日

車検証閲覧アプリの使い方|対応OS・確認できる情報

車検証閲覧アプリで電子車検証のICタグを読み取り車検証情報を確認する

電子車検証の券面には有効期間や所有者情報が記載されないため、これらを確認するには国土交通省が提供する車検証閲覧アプリを使います。自動車のユーザーだけでなく、整備工場・販売店・保険代理店などの関係事業者も日常的に使うアプリです。

対応環境(2026年8月時点)

  • パソコン:Windows 11(バージョン24H2)+ ICカードリーダ
  • スマートフォン:iOS 18・26 / Android 13〜16。いずれもNFC対応機種のみ
  • iPadは非対応(NFC機能を搭載していないため動作対象外)
  • 企業向けにサイドローディング版も提供されています

※対応OSのバージョンは順次更新されます。導入前に国土交通省の電子車検証特設サイトで最新の対応状況をご確認ください。

閲覧の3ステップ

  • ①アプリをインストールする/App Store・Google Play・Microsoft Store から入手します
  • ②セキュリティコードを入力してICタグを読み取る/電子車検証の券面に記載されているセキュリティコードを入力し、スマートフォンまたはICカードリーダでICタグにかざします
  • ③車検証情報を閲覧する/有効期間の満了する日、所有者の氏名・住所などが画面に表示されます

読み取りがうまくいかない場合は、セキュリティコードの入力誤り、NFC非対応の端末を使っている、ICタグの位置がずれている、ICタグが折れ曲がって破損している、といった原因が考えられます。

車検証閲覧アプリでできること

  • 車検証情報の閲覧:従来の車検証と同等の情報を確認できます
  • データ出力:車検証情報が記載された電子署名付きPDFをダウンロードでき、改ざん検証にも対応します。整備システムなど他のソフトとの連携に使えるファイル形式での出力にも対応しています
  • リコール情報の表示:自動車製造メーカー等から申告されたリコール情報を確認できます
  • 有効期間お知らせサービス:有効期間の満了の60日前・30日前・満了の1日後の計3回、プッシュ通知でお知らせします。メールアドレスを登録すればメールでの併行通知も可能です

このうちデータ出力機能は、整備工場や販売店にとって特に重要です。読み取った車検証データをそのまま自動車整備システムや車両販売システムに取り込めれば、車両台帳への手入力を大幅に減らせます。

自動車検査証記録事項とは|電子車検証との違い

自動車検査証記録事項とは、電子車検証の交付時やICタグの記録更新時にあわせて渡される補助的な書面(A4)のことです。券面には印刷されずICタグに記録されている項目(有効期間の満了する日、所有者の氏名・住所、使用者の住所など)が印字されており、閲覧アプリを使わなくても内容を確認できます。

「車検証」と「自動車検査証記録事項」の違いがわかりにくいという声は多いのですが、法律上の自動車検査証はあくまで電子車検証(ICタグ付きの券面)であり、自動車検査証記録事項は内容確認のための補助書面という位置づけです。運行時に車に備え付ける義務があるのは電子車検証のほうです。

紛失した場合や、後から内容を確認したい場合は、運輸支局等の窓口で自動車検査証記録事項の交付を受けることもできます。

電子車検証のよくあるつまずきと対処法

車検を受けたのに新しい電子車検証がもらえない・更新されない

これは不具合ではありません。券面に印刷された情報に変更がなく、ICタグの記録更新だけで完了する継続検査では、電子車検証そのものは新しく交付されないためです。手元の電子車検証をそのまま使い続けることになり、有効期間だけがICタグの中で書き換えられています。券面の日付が古いままでも問題ありません。心配な場合は車検証閲覧アプリで有効期間の満了する日を読み取って確認してください。

車検の有効期間(満了日)はどこで確認する?

電子車検証の券面には有効期間の満了する日が印刷されていません。確認方法は次の3つです。

  • 車検証閲覧アプリでICタグを読み取る
  • 自動車検査証記録事項(交付時に渡される補助書面)を見る
  • フロントガラスに貼付された検査標章(車検ステッカー)で満了年月を確認する

電子車検証を紛失した・破損したとき

ICタグが破損すると記録された情報を読み取れなくなり、その電子車検証は無効となります。紛失時・破損時は、使用の本拠の位置を管轄する運輸支局等で再交付の申請を行ってください。折り曲げ・水濡れ・強い圧力はICタグ破損の原因になるため、保管には注意が必要です。電子車検証ケースや車検証入れを使い、グローブボックス内で保管するのが安全です。

車への備付け(携帯)義務は変わらない

電子車検証になっても、運行時に自動車検査証を車に備え付ける義務は従来どおりです。閲覧アプリで出力したPDFやスマートフォンの画面が、車に備え付ける電子車検証の代わりになるわけではありません。

紙の車検証には戻せない

電子車検証の交付対象となる手続きを行った場合、紙の車検証に戻すことはできません。印刷したPDFはあくまで内容確認用の控えです。

【事業者向け】記録等事務代行サービスとは

記録等事務代行サービス業者の登録はすでに始まっています|電子車検証の記録更新と検査標章の印刷が可能に

電子化による「運輸支局等への出頭不要」を実現しているのが記録等事務代行制度です。国土交通大臣から委託を受けた記録等事務代行者は、電子車検証のICタグの記録更新と検査標章(車検ステッカー)の印刷を、自らの事業所で行うことができます。

委託される事務は大きく2種類に分かれます。

区分委託される事務
特定記録等事務(記録等事務代行者)継続検査に係る自動車検査証への記録等に関する事務(有効期間の更新・検査標章の交付事務)
特定変更記録事務(変更記録事務代行者)自動車検査証の変更記録に関する事務(変更登録・移転登録に伴う記載の変更)

申請は記録事務代行ポータルからのオンライン申請で、令和5年1月から受付が始まっています。代行を行うには、電子車検証のICタグを読み書きできる機器や検査標章を印刷するプリンタなど、事業所側の環境整備が必要です。

この仕組みにより、国の審査を経た車検証だけが書き換えられることになり、車検証の不正な書換えや検査標章の不正印刷を防ぐ効果も期待されています。

記録事務代行サービス業者への登録が行えるのは行政書士・自販連・日整連・指定整備事業者・全軽自協

電子車検証時代に整備工場・販売店が備えるべきシステム対応

デジタル化に対応して当たり前!コスパも優れて当たり前の時代!自動車整備システム・車両販売システムの見直しを

電子車検証は、自動車のユーザーよりもむしろ自動車整備工場・車両販売店といった事業者側の業務フローを大きく変えました。券面を見ただけでは車検満了日も所有者名もわからないため、これまで「車検証をコピーして台帳に転記する」という運用をしていた事業所は、対応の見直しが必要になります。

①車検案内(DM)の管理が紙のままだと成り立たない

車検の満了日が券面に印刷されていないため、預かった車検証を目視して満了日を控える運用ができません。ICタグを読み取ってデータとして取り込み、自動車整備システムの顧客台帳・車両台帳で満了日を管理する体制が前提になります。車検案内DMや点検案内の精度は、そのまま入庫台数に直結します。

②閲覧アプリのデータ出力を活かせるかで入力工数が変わる

車検証閲覧アプリは、読み取った車検証情報をファイルとして出力できます。この出力データを自動車整備ソフト車両販売システムに取り込めれば、車両登録の入力作業をほぼ自動化でき、転記ミスもなくなります。逆に、データ取り込みに対応していない古いシステムを使い続けると、電子化されたのに手入力が増えるという逆転現象が起こります。

③記録等事務代行を行うなら日常業務との連動が必須

記録等事務代行者として有効期間の更新や検査標章の印刷を行う事業所では、代行アプリと機器に加えて、入庫管理・整備記録・請求までを一本で扱える整備システムが実務の土台になります。代行業務だけが独立していると、二重入力が発生してかえって工数が増えます。

④DREAM POWERという選択肢

株式会社日本カーネットが提供するDREAM POWERは、自動車整備業・車両販売業向けの自動車整備システム/車両販売システムです。整備・車販・顧客管理・請求までを一体で扱えるため、電子車検証の運用にあわせて台帳管理をデジタルに切り替えたい事業所に適しています。導入コストや運用形態を含めた比較検討は、下記の整備システム比較サイトからご覧いただけます。

整備システムの比較しませんか?整備比較.comはこちら

車検証の空き領域の利活用(令和7年4月開始)

電子車検証のICタグには、行政が使用する領域とは別に、民間事業者等が利用できる空き領域が用意されています。この空き領域の利活用は令和7年(2025年)4月に開始されました。車両1台ごとのICタグに事業者側の情報を記録できるようになるため、整備・点検・流通の現場での新しい使い方が広がっていくことが見込まれます。利用の詳細や申請方法は、国土交通省の電子車検証特設サイトおよび専用ポータルで公開されています。

電子自動車検査証が普及すると

電子車検証の普及で自動車のトレーサビリティが向上し中古車流通市場が活性化する

国の「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン検討会」は、平成27年1月に「自動車の履歴情報を収集・活用したトレーサビリティー・サービスの展開による自動車流通市場の活性化」を公表しました。

中古車購入に際して、車両の事故履歴・オーナー数・修理整備履歴・走行距離・冠水歴などの情報が正確に参照できるようになれば、購入者は安心して車を選べるようになります。車検証が電子化され、車両情報がデータとして扱えるようになったことは、このトレーサビリティ(履歴の追跡可能性)を実現する基盤になります。

一方で、事業者側には次のような準備が求められます。

  • ICタグを読み取るためのICカードリーダまたはNFC対応端末の用意
  • 記録等事務代行を行う場合は、代行サービス業者への事前登録
  • 車検証閲覧アプリで何ができるのかを事前に把握しておくこと
  • 読み取ったデータを受け止められる自動車整備システム・車両販売システムの整備

「電子車検証に変わったこと」そのものより、それを前提に業務が回る体制になっているかが、これからの整備工場・販売店の差になります。

自動車整備システム・自動車整備ソフト選びのよくある質問

Q. 自動車整備システムと自動車整備ソフトは何が違いますか?

呼び方の違いで、指しているものはほぼ同じです。見積・整備記録・請求・顧客管理・車検案内までを扱う業務システムを自動車整備システムあるいは自動車整備ソフトと呼びます。車両の仕入・販売・名義変更まで扱うものは車両販売システム(車販ソフト)と呼ばれ、整備と車販の両方を1つで扱える製品もあります。

Q. 整備システムの比較はどこで見られますか?

主要な製品の機能・価格・サポート体制をまとめた整備システム 比較サイト「整備比較.com」で確認できます。整備ソフト おすすめの条件は事業所の規模や業務比率によって変わるため、自社の入庫台数・スタッフ数・車販の有無を整理したうえで比較するのが確実です。

Q. 整備ソフトを安く導入したい。リースなしでも導入できますか?

整備ソフト 安い製品を探す場合、初期費用だけでなく月額費用・保守費用・法令改正時の対応費用まで含めた総額で比較してください。長期のリース契約を前提としない整備システム リースなしの導入形態を選べる製品もあり、契約期間に縛られずに乗り換えやすいという利点があります。

Q. 車両販売システム(車販ソフト)は整備システムと一体で使えますか?

製品によります。整備と車販を別々のソフトで管理すると、同じ車両・同じ顧客を二重入力することになり、電子車検証のデータ活用の効果も薄れます。整備と車販を1つの台帳で扱える製品を選ぶと、車検案内から次の乗り換え提案までを同じ顧客データで追えます。

Q. 電子車検証に対応した整備システムを選ぶポイントは?

次の3点を確認してください。①車検証閲覧アプリが出力したデータを取り込めるか、②有効期間の満了する日をシステム側で管理し車検案内に使えるか、③記録等事務代行を行う場合に日常の入庫管理と二重入力にならないか。この3点を満たしていれば、電子車検証を前提とした運用に無理なく移行できます。

電子車検証の解説記事一覧

電子車検証について、テーマ別に詳しく解説した記事をまとめています。知りたい項目からお読みください。

電子車検証の基本

車検証閲覧アプリ

手続き・トラブル

事業者向け(整備工場・販売店)


国土交通省ウェブサイト
電子車検証特設サイトはこちら