記録等事務代行者になるには|申請方法と必要な機器【整備工場向け】
電子車検証の「運輸支局等へ出頭しなくてよい」という仕組みを実際に支えているのが、記録等事務代行制度です。国土交通大臣から委託を受けた事業者が、自らの事業所でICタグの記録更新と検査標章の印刷を行えます。
この記事では、制度の内容、2種類の代行者の違い、申請方法、そして代行を始めるにあたって整備工場・販売店が用意すべき業務体制について解説します。
記録等事務代行制度とは
継続検査を受けても、電子車検証の券面に印刷された情報が変わらない場合は、ICタグの記録(有効期間)を書き換えるだけで済みます。この書き換えを、運輸支局等ではなく委託を受けた事業者が行えるようにしたのが記録等事務代行制度です。
あわせて検査標章(車検ステッカー)の印刷も事業所で行えるため、ユーザーは車検が終わればその場ですべてを受け取れます。
制度がもたらす効果
- ユーザー:車検証を受け取るためだけに運輸支局等へ行く必要がなくなる
- 事業者:手続きを自社で完結でき、引き渡しまでのリードタイムが短くなる
- 行政:国の審査を経た車検証のみが書き換えられるため、車検証の不正な書換えや検査標章の不正印刷を防げる
2種類の代行者|委託される事務の違い
| 区分 | 委託される事務 |
|---|---|
| 特定記録等事務(記録等事務代行者) | 継続検査に係る自動車検査証への記録等に関する事務。有効期間の更新と検査標章の交付事務が中心です |
| 特定変更記録事務(変更記録事務代行者) | 自動車検査証の変更記録に関する事務。変更登録・移転登録に伴う記載の変更を扱います |
継続検査(車検)を主に扱う整備工場が関係するのは前者の特定記録等事務です。名義変更や住所変更といった変更登録まで扱う場合は後者が関わってきます。
申請方法|記録事務代行ポータルからオンライン申請
委託を受けるための申請は、記録事務代行ポータルからのオンライン申請で行います。受付は令和5年1月から始まっています。軽自動車については軽自動車検査協会の案内もあわせて確認してください。
※申請要件・様式・手数料は改定されることがあります。申請前に国土交通省の電子車検証特設サイト(事業者向けページ)および記録事務代行ポータルで最新の内容をご確認ください。
代行を行うために事業所で必要になるもの
制度に登録するだけでは業務は回りません。日々の運用には次の環境が必要です。
| 必要なもの | ポイント |
|---|---|
| ICタグを読み書きできる機器 | 国土交通省が公開する動作確認済みICカードリーダ一覧を参照。台数の多い事業所はPC+カードリーダが現実的です |
| 検査標章を印刷できるプリンタ | 標章の印刷品質・耐久性の要件を満たす必要があります |
| 代行用のアプリケーション環境 | Windows環境が前提になります |
| 車検証情報を管理する業務システム | ここが見落とされがちです。次章で詳しく説明します |
| 担当者の運用ルール | 誰が読み取り、誰が記録更新し、誰が標章を貼るのかを決めておく必要があります |
見落とされがちな論点|二重入力をどう防ぐか
記録等事務代行を導入した事業所でよく起きるのが、代行業務と日常の入庫管理が分断され、同じ車両情報を2回入力しているという状態です。
- 代行アプリでICタグを読み取り、記録更新する
- そのあと、自社の整備システムに車両情報を手入力する
- 結果、電子化されたはずなのに入力工数が増える
本来の狙いは逆で、読み取った車検証データをそのまま業務システムに取り込むことで入力を減らせるはずです。車検証閲覧アプリは、他のソフトとの連携に使えるファイル形式でのデータ出力に対応しています。この出力を受け止められる自動車整備システムを使っているかどうかで、代行導入後の事務負担はまったく変わります。
代行をしない事業所も無関係ではない
記録等事務代行者にならない場合でも、電子車検証への対応は避けられません。
- 車検満了日が券面から消えた:預かった車検証を目視して台帳に転記する運用が成立しません
- 車検案内DMの精度が落ちる:満了日をシステムで持たないと案内が出せず、そのまま入庫減につながります
- ICタグ破損のリスク:コピー機のフィーダーで破損させると再交付の責任問題になりかねません
- ユーザーからの問い合わせ増:「新しい車検証が来ない」という誤解への説明が必要になります
導入前に確認したいチェックリスト
- ICカードリーダまたはNFC対応端末が現場にあるか
- 車検証閲覧アプリの出力データを取り込める業務システムを使っているか
- 車検満了日をシステムで管理し、案内DMの抽出に使えているか
- 整備と車販を別々のソフトで管理して二重入力になっていないか
- 車検証をコピーして綴じる運用のままになっていないか
- スタッフ全員がICタグ破損の注意点(折り曲げ厳禁・フィーダー禁止)を把握しているか
電子車検証は券面を見ても車検満了日も所有者情報も分かりません。預かった車検証を目視して台帳に書き写す運用は成り立たなくなり、車検案内の精度がそのまま入庫台数に響きます。閲覧アプリが出力したデータを取り込める自動車整備システム(自動車整備ソフト)や車両販売システム(車販ソフト)に切り替えれば、車両台帳への手入力をほぼなくせます。 整備システム 比較や整備ソフト おすすめの条件を知りたい方、整備ソフト 安い製品や長期契約に縛られない整備システム リースなしの導入形態を探している方は、 整備システム比較.comで主要製品の機能・価格を比較できます。整備・車販・鈑金を一体で扱う DREAM POWER(新車の仕入れルート確保)(日本カーネット)の総合案内もあわせてご覧ください。
